化学ⅠB
これから、高校化学を勉強してゆきますよ!
このページを見ての通り、化学は覚えることは実際少ないですが、問題を解く考え方が重要となります。なのでこのページは全部覚えるよりも、流れを掴むことを目的に読んでください。
実際の化学は問題を解くうちに理解することができます。
第1章 物質とその変化
ここでは、物質について学んでゆきますがそもそも物質って何かというと、まあここでは簡単に水とか油とかダイヤモンドとかそういったもの全般ひっくるめた名前を物質だと思ってください。
言い換えると、私たちが身の回りで感じることができる、形や重さを持つ「もの」のことです。例えば、水、空気、鉄、木、プラスチックなど、私たちが触れたり、見たり、匂いを嗅いだりできるものはすべて物質です。
1.1 物質の最小単位
物質をどんどん細かくしていくと、最後には目に見えない小さな粒になります。この粒のことを原子といいます。原子は、さらに小さな陽子、中性子、電子からできています。
- 原子: 物質を構成する最小の単位
- 陽子: 正の電気を帯びた粒子
- 中性子: 電気を帯びていない粒子
- 電子: 負の電気を帯びた粒子
1.2 物質の状態
物質は、温度や圧力などの条件によって、固体、液体、気体の3つの状態に変化します。
- 固体: 形と体積が一定で、粒子同士が密に詰まっている状態。
- 液体: 形は容器の形に変わるが、体積は一定で、粒子は比較的自由に動き回れる状態。
- 気体: 形と体積が容器によって変わり、粒子は非常に自由に動き回っている状態。
1.3 物質の種類
物質は、その成分によって様々な種類に分けられます。
- 混合物: 複数の純粋な物質が混ざり合っている物質。例えば、空気、海水など。
- 純粋な物質: 一種類の原子または分子からできている物質。例えば、水、酸素など。
1.4 化学変化と物理変化
物質に変化が起こるとき、化学変化と物理変化の2種類に分類されます。
- 化学変化: 物質の種類が変化する変化。新しい物質が生成される。
- 例:鉄が錆びる、木が燃える
- 物理変化: 物質の種類は変わらず、状態や形が変化する。
- 例:水が蒸発する、氷が溶ける
1.5 化学反応式
化学変化を表すために、化学反応式が用いられます。化学反応式では、反応に関わる物質(反応物)と生成される物質(生成物)を、化学式を用いて表します。
- 例: 水素と酸素が反応して水が生成される反応
2H₂ + O₂ → 2H₂O
この式は、2分子の水素と1分子の酸素が反応して、2分子の水が生成されることを示しています。
ポイント
- 化学反応式では、質量保存の法則が成り立つため、反応前後の原子の種類と数は一致する。
- 化学反応式には、係数をつけることで、反応に関わる物質の量的関係を表す。
練習問題
- 次の現象は、化学変化か物理変化か。
- 砂糖が水に溶ける
- 鉄が錆びる
- 木が燃える
- 水が凍る
- 次の化学反応式の意味を説明しなさい。
CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O
第2章 物質量と化学反応
2.1 モル
原子や分子は非常に小さいため、個数で数えるのは大変です。そこで、化学ではモルという単位を使って、物質の量を表します。
- モルとは、ある物質に含まれる粒子の数を表す単位です。
- 1モルの物質の中には、**アボガドロ数(約6.02×10²³個)**の粒子が含まれています。
例えば、1モルの炭素原子には、約6.02×10²³個の炭素原子が含まれているということです。
2.2 化学反応式と物質量
化学反応式には、反応に関わる物質の量的関係が示されています。化学反応式の係数は、物質量(モル)の比を表しています。
例えば、水素と酸素が反応して水が生成される反応
2H₂ + O₂ → 2H₂O
この式は、2モルの水素と1モルの酸素が反応して、2モルの水が生成されることを意味します。
2.3 気体の状態方程式
気体の状態は、圧力(P)、体積(V)、絶対温度(T)、**物質量(n)**の4つの変数で表されます。これらの変数の関係は、理想気体の状態方程式で表されます。
PV = nRT
- P: 圧力 [Pa]
- V: 体積 [m³]
- n: 物質量 [mol]
- R: 気体定数 (約8.31 J/(mol・K))
- T: 絶対温度 [K]
この式は、一定量の気体について、圧力、体積、温度の間に成り立つ関係を示しています。
例題
標準状態(0℃、1.01×10⁵Pa)において、22.4 Lの体積を占める気体の物質量を求めなさい。
解答 状態方程式に値を代入すると、
1.01×10⁵ Pa × 22.4 × 10⁻³ m³ = n × 8.31 J/(mol・K) × 273 K
n ≈ 1 mol よって、22.4 Lの気体の物質量は約1 molとなります。
まとめ
- モルは、物質の量を表す単位で、アボガドロ数が重要。
- 化学反応式は、物質量の比を表す。
- 気体の状態方程式は、気体の状態を記述する式。
練習問題
- 32 gの酸素O₂は何モルか。
- 標準状態で、2 molの窒素N₂は、何Lの体積を占めるか。
- メタンCH₄が2 mol燃焼するとき、生成する二酸化炭素CO₂は何モルか。
次の章では、溶液の性質や化学平衡について学んでいきます。
ポイント
- モル計算は、化学反応式と状態方程式を組み合わせることで、様々な問題を解くことができます。
- モル濃度、質量パーセント濃度など、溶液の濃度を表す方法も重要です。
第3章 溶液
3.1 溶解
ある物質が別の物質に均一に混ざり合う現象を溶解と言います。この時、溶かされる物質を溶質、溶かす物質を溶媒と言います。最も身近な溶媒は水です。水に食塩を溶かすと、食塩水という溶液ができます。
溶解には、飽和と不飽和の2つの状態があります。
- 飽和溶液: ある温度で、ある量の溶媒に溶けきった状態の溶液。これ以上溶質を溶かすことができません。
- 不飽和溶液: 飽和状態よりも溶質が少なく、まだ溶質を溶かすことができる状態の溶液。
溶解度は、温度によって変化します。一般的に、温度が高いほど多くの物質を溶かすことができます。
3.2 濃度
溶液の濃さは、溶液中に溶けている溶質の量を表します。濃度の表し方として、質量パーセント濃度、モル濃度などがよく用いられます。
- 質量パーセント濃度: 溶液100gの中に溶けている溶質の質量を百分率で表したもの。
質量パーセント濃度(%) = (溶質の質量/溶液の質量) × 100
- モル濃度: 1Lの溶液中に溶けている溶質の物質量(mol)で表したもの。
モル濃度(mol/L) = 溶質の物質量(mol) / 溶液の体積(L)
3.3 溶液の性質
溶液は、純粋な溶媒とは異なる性質を示します。
- 蒸気圧降下: 溶液の蒸気圧は、純粋な溶媒の蒸気圧よりも低くなる。
- 沸点上昇: 溶液の沸点は、純粋な溶媒の沸点よりも高くなる。
- 凝固点降下: 溶液の凝固点は、純粋な溶媒の凝固点よりも低くなる。
- 浸透圧: 半透膜を隔てて濃度の異なる2つの溶液があると、濃度の低い方から高い方へ溶媒が移動する現象。
これらの性質は、溶液中の溶質の粒子数に比例するため、溶液の濃度を測定する際に利用されます。
まとめ
- 溶液は、溶質と溶媒が均一に混ざり合った状態。
- 溶解度、濃度、蒸気圧降下、沸点上昇、凝固点降下、浸透圧などが溶液の重要な性質。
- モル濃度は、化学反応式との関連で重要な概念。
練習問題
- 50gの食塩を水に溶かして500gの食塩水を作った。この食塩水の質量パーセント濃度を求めなさい。
- 2 molの塩酸を水に溶かして1Lの塩酸溶液を作った。この塩酸溶液のモル濃度を求めなさい。
- 0℃の純粋な水の凝固点は0℃であるが、食塩水の場合は0℃より低くなる。なぜでしょうか。
次の章では、酸と塩基について学んでいきます。
ポイント
- 溶液の濃度は、実験において非常に重要な概念です。
- 溶液の性質は、私たちの身の回りで様々な現象に関わっています。
第4章 酸と塩基
4.1 酸・塩基の定義
酸と塩基は、物質の性質を大きく左右する重要な概念です。これらには様々な定義がありますが、ここでは代表的なものを紹介します。
アレニウスの定義
- 酸: 水に溶かすと水素イオン(H⁺)を放出する物質
- 塩基: 水に溶かすと水酸化物イオン(OH⁻)を放出する物質
この定義は、水溶液中の酸・塩基を理解する上で基本となります。
ブレンステッド・ローリーの定義
- 酸: 他の物質にプロトン(H⁺)を与える物質
- 塩基: 他の物質からプロトン(H⁺)を受け取る物質
この定義は、水溶液だけでなく、非水溶液中の酸・塩基の反応も説明することができます。
4.2 pH
水溶液の酸性度やアルカリ性を表す尺度として、pHが用いられます。pHは、水素イオン濃度[H⁺]の負の常用対数で定義されます。
pH = -log₁₀[H⁺]
- pHが7より小さいとき、水溶液は酸性
- pHが7のとき、水溶液は中性
- pHが7より大きいとき、水溶液はアルカリ性
4.3 中和反応
酸と塩基が反応して、塩と水を生じる反応を中和反応といいます。
酸 + 塩基 → 塩 + 水
中和反応は、酸のH⁺と塩基のOH⁻が結びついて水分子(H₂O)となる反応です。
4.4 強酸・弱酸、強塩基・弱塩基
酸や塩基には、水に溶けると完全に電離するもの(強酸・強塩基)と、一部しか電離しないもの(弱酸・弱塩基)があります。
- 強酸: 塩酸(HCl)、硫酸(H₂SO₄)、硝酸(HNO₃)など
- 弱酸: 酢酸(CH₃COOH)、炭酸(H₂CO₃)など
- 強塩基: 水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)など
- 弱塩基: アンモニア(NH₃)など
4.5 pH指示薬
溶液のpHを視覚的に判断するために、pH指示薬が用いられます。pH指示薬は、pHによって色が変わる物質です。リトマス紙などがよく知られています。
4.6 中和滴定
未知の濃度の酸または塩基の濃度を、濃度が既知の酸または塩基を用いて求める実験を中和滴定といいます。中和点(酸と塩基が完全に反応する点)で、pH指示薬の色が変化します。
まとめ
- 酸と塩基は、水素イオンのやり取りによって定義される。
- pHは、水溶液の酸性度やアルカリ性を表す尺度。
- 中和反応は、酸と塩基が反応して塩と水を生じる反応。
- 強酸・弱酸、強塩基・弱塩基は、水への溶解度や電離の度合いが異なる。
- pH指示薬や中和滴定は、酸や塩基の性質を調べる実験に用いられる。
練習問題
- 次の物質は酸か塩基か。
- 塩酸
- 水酸化ナトリウム
- アンモニア
- pHが3の溶液とpHが11の溶液を比べると、どちらが酸性か。
- 中和反応の化学反応式を3つ挙げなさい。
- 強酸と弱酸の違いを説明しなさい。
次の章では、酸化還元反応について学んでいきます。
ポイント
- 酸と塩基の概念は、化学反応を理解する上で非常に重要です。
- pHは、環境問題など、様々な分野で利用されています。
- 中和滴定は、定量分析の基本的な手法です。
第5章 イオン
5.1 イオンの生成
原子や分子は、電子をやり取りすることで、電気的に中性の状態から、正または負の電気を帯びた粒子に変化することがあります。この電気を帯びた粒子をイオンといいます。
- 陽イオン: 電子を失い、正の電荷を帯びたイオン
- 陰イオン: 電子を得て、負の電荷を帯びたイオン
イオンの生成例
- 金属原子のイオン化: 金属原子は、比較的容易に電子を失い、陽イオンになります。 例:Na → Na⁺ + e⁻
- 非金属原子のイオン化: 非金属原子は、電子を受け取って陰イオンになりやすいです。 例:Cl + e⁻ → Cl⁻
- 化合物の電離: 一部の化合物(電解質)は、水に溶けると陽イオンと陰イオンに分かれる(電離)します。 例:NaCl → Na⁺ + Cl⁻
5.2 電解質溶液
水に溶けてイオンに電離する物質を電解質といいます。電解質が水に溶けると、その溶液は電気を通すようになります。このような溶液を電解質溶液といいます。
- 強電解質: 水に溶けるとほぼ完全に電離する物質(例:塩酸、水酸化ナトリウム)
- 弱電解質: 水に溶けても一部しか電離しない物質(例:酢酸、アンモニア)
5.3 電気伝導度
電解質溶液は、イオンが自由に動き回ることができるため、電気を流すことができます。この性質を電気伝導性といいます。
- 電気伝導度: 電流が流れやすさの度合い
- 要因: イオンの種類、イオンの濃度、温度など
電気伝導度の測定
電気伝導度は、電導率セルを用いて測定されます。電導率セルは、2つの電極を一定の距離に配置した装置で、電極間の溶液の抵抗値を測定することで、電気伝導度を求めます。
5.4 電解質溶液の性質
電解質溶液は、非電解質溶液(例えば、砂糖水)とは異なる性質を示します。
- 蒸気圧降下、沸点上昇、凝固点降下: 非電解質溶液よりも大きく現れる。
- 浸透圧: 非電解質溶液よりも高い。
- 電気伝導性: 電気を導く。
これらの性質は、溶液中のイオンの数が影響するため、イオンの濃度が高いほど、効果は大きくなります。
5.5 電気分解
電流を流すことによって、電解質溶液中のイオンを移動させ、電極上で化学反応を起こす現象を電気分解といいます。
- 陰極: 陰イオンが移動し、電子を受け取って還元される電極
- 陽極: 陽イオンが移動し、電子を失って酸化される電極
電気分解の応用
- 金属のめっき
- アルミニウムの製造
- 塩素の製造
5.6 ファラデーの電気分解の法則
電気分解で生成される物質の量は、流れた電気量に比例することが知られています。これをファラデーの電気分解の法則といいます。
まとめ
- イオンは、原子や分子が電子を失ったり得たりしてできた電気を帯びた粒子。
- 電解質は、水に溶けるとイオンに電離する物質。
- 電解質溶液は、電気伝導性を示す。
- 電気分解は、電流を用いて化学変化を起こす現象。
練習問題
- 次の物質を陽イオンと陰イオンに分けなさい。
- NaCl
- CaCl₂
- H₂SO₄
- 強電解質と弱電解質の違いを説明しなさい。
- 電気分解の陰極と陽極で起こる反応をそれぞれ説明しなさい。
次の章では、酸化還元反応についてさらに詳しく学んでいきます。
ポイント
- イオンの概念は、化学反応を理解する上で非常に重要です。
- 電解質溶液は、私たちの身の回りで様々な場面で利用されています。
- 電気分解は、工業的に重要なプロセスです。
第1章 有機化合物
1.1 炭素の結合
有機化合物の骨格を形作る炭素原子は、4つの電子を共有して4つの結合を作ることができます。この結合は、単結合、二重結合、三重結合の3種類があり、結合の種類によって分子の形や性質が大きく変わります。
- 単結合: 炭素原子同士が1対の電子を共有する結合。回転が可能で、分子に柔軟性を与える。
- 二重結合: 炭素原子同士が2対の電子を共有する結合。回転が制限され、分子に剛性を与える。
- 三重結合: 炭素原子同士が3対の電子を共有する結合。非常に強い結合で、直線状の構造となる。
1.2 脂肪族化合物
炭素原子が鎖状または環状に連なっており、芳香族性を示さない化合物を脂肪族化合物といいます。
- 飽和炭化水素: 炭素原子間に単結合のみを持つ化合物。メタン、エタンなど。
- 不飽和炭化水素: 炭素原子間に二重結合または三重結合を持つ化合物。エチレン、アセチレンなど。
官能基
脂肪族化合物に様々な性質を与える原子団を官能基といいます。アルコールのヒドロキシ基(-OH)、カルボン酸のカルボキシル基(-COOH)などが代表的な官能基です。
1.3 芳香族化合物
ベンゼン環と呼ばれる六員環構造を持つ化合物を芳香族化合物といいます。ベンゼン環は、π電子が環状に広がっており、高い安定性を示します。
- ベンゼン: 芳香族化合物の代表的な化合物。
- 芳香族化合物: ベンゼン環を一つ以上持つ化合物。
1.4 高分子化合物
分子量が非常に大きい化合物で、多くの繰り返し単位から構成されています。
- 天然高分子: 天然に存在する高分子。タンパク質、デンプン、セルロースなど。
- 合成高分子: 人工的に合成された高分子。ポリエチレン、ポリエステルなど。
高分子の合成
- 重合: 低分子化合物(モノマー)を繰り返し結合させて高分子を作る反応。
1.5 有機化合物の異性体
分子式は同じでも、構造が異なる化合物を異性体といいます。
- 構造異性体: 分子内の原子の結合の順序が異なる異性体。
- 立体異性体: 分子内の原子の空間的な配置が異なる異性体。
1.6 有機化合物の命名法
有機化合物には、国際純正および応用化学連合(IUPAC)によって定められた命名法があります。
ポイント
- 有機化合物の構造は、炭素骨格と官能基によって決まる。
- 芳香族化合物は、ベンゼン環を持つ化合物。
- 高分子化合物は、多くの繰り返し単位からなる。
- 異性体は、分子式は同じでも構造が異なる化合物。
練習問題
- メタン、エタン、エチレンの構造式を書きなさい。
- アルコールの官能基の名前と構造式を書きなさい。
- ベンゼンの構造式を書きなさい。
- ポリエチレンの構造を説明しなさい。
- 構造異性体と立体異性体の違いを説明しなさい。
第2章 無機化合物
2.1 周期表
周期表は、元素を原子番号の順に並べた表で、元素の性質の周期的な変化を系統的に示しています。周期表は、元素の分類、性質の予測、化学反応の理解に不可欠なツールです。
周期表の構成
- 周期: 横方向の並び。同じ周期の元素は、最外殻電子の数が同じ傾向があります。
- 族: 縦方向の並び。同じ族の元素は、最外殻電子の数が同じで、化学的性質が似ています。
周期表の読み方
周期表から、元素の原子番号、元素記号、原子量、電子配置などを読み取ることができます。
2.2 金属元素
周期表の左下部分に位置する元素を一般に金属元素といいます。金属元素は、金属光沢があり、電気や熱をよく導き、展性や延性があります。
- 特徴:
- 陽イオンになりやすい。
- 金属結合によって結晶を作る。
- 電気伝導性、熱伝導性が高い。
- 例:
- アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)
- アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)
- 遷移金属(鉄、銅、銀など)
2.3 非金属元素
周期表の右上部分に位置する元素を一般に非金属元素といいます。非金属元素は、金属元素とは対照的に、電気や熱をあまり導きません。
- 特徴:
- 陰イオンになりやすい。
- 共有結合によって分子を作る。
- 電気絶縁性が高い。
- 例:
- ハロゲン(フッ素、塩素など)
- 18族元素(希ガス)
- 酸素、窒素など
2.4 配位化合物
中心金属イオンに、電子対を持つ分子やイオン(配位子)が配位結合で結びついた化合物を配位化合物といいます。
- 中心金属イオン: 配位子の電子対を受け入れる金属イオン。
- 配位子: 中心金属イオンに電子対を与える分子やイオン。
- 配位結合: 配位子と中心金属イオンの間の結合。
配位化合物の特徴
- 錯イオン: 中心金属イオンと配位子が結合してできたイオン。
- 錯体: 錯イオンを含む化合物。
- 配位数: 中心金属イオンに結合している配位子の数。
2.5 無機化合物の性質と反応
無機化合物は、その種類によって様々な性質と反応を示します。
- 酸・塩基反応: 酸と塩基が反応して塩と水を生じる反応。
- 酸化還元反応: 電子授受を伴う反応。
- 沈殿反応: 2つの水溶液を混ぜ合わせると、不溶性の物質(沈殿)が生じる反応。
- 複分解反応: 2つの化合物の間で成分が交換される反応。
ポイント
- 周期表は、元素の性質を系統的に理解するための重要なツールです。
- 金属元素と非金属元素は、物理的性質や化学的性質が大きく異なります。
- 配位化合物は、錯イオンという特徴的な構造を持つ化合物です。
- 無機化合物の反応は、酸・塩基反応、酸化還元反応など、様々な種類があります。
練習問題
- 周期表で、アルカリ金属元素とハロゲン元素の位置をそれぞれ示しなさい。
- 配位化合物における中心金属イオンと配位子の役割を説明しなさい。
- 塩酸と水酸化ナトリウムの反応を化学反応式で表し、この反応の種類を答えなさい。
次の章では、化学平衡について学んでいきます。
第3章 化学平衡
3.1 可逆反応
化学反応は、すべてが一方通行ではなく、多くの場合、生成物から再び反応物に戻る反応も同時に起こります。このような反応を可逆反応といいます。
A + B ⇄ C + D
上の式で、⇄は可逆反応を示す記号です。
3.2 化学平衡
可逆反応では、ある一定の条件下で、生成反応と逆反応の速度が等しくなり、反応系の組成が一定に保たれる状態になります。この状態を化学平衡といいます。
3.3 化学平衡の定数
化学平衡の状態では、反応物と生成物の濃度の比が一定になります。この比を平衡定数Kといいます。
K = [C][D] / [A][B]
平衡定数は、温度によって決まる定数であり、反応系の状態を示す重要な指標となります。
3.4 ルシャトリエの原理
化学平衡の状態にある系に外から何らかの変化を加えると、その変化を打ち消す方向に平衡が移動します。これをルシャトリエの原理といいます。
- 濃度変化: ある物質の濃度を増加させると、その物質を消費する方向に平衡が移動します。
- 圧力変化: 気体を含む反応系では、圧力を増加させると、気体のモル数が減少する方向に平衡が移動します。
- 温度変化: 発熱反応では温度を下げると、吸熱反応では温度を上げると、平衡は生成物側に移動します。
3.5 平衡の応用
化学平衡の原理は、工業プロセスや自然現象の理解に不可欠です。例えば、ハーバー・ボッシュ法によるアンモニア合成や、血液中のpH調節など、様々な場面で利用されています。
第4章 電気化学
4.1 電池
化学反応によって電気エネルギーを得る装置を電池といいます。
- ボルタ電池: 異なる金属を電極とし、電解液に浸して構成される。
- 乾電池: 固体またはペースト状の電解質を用いた電池。
- 蓄電池: 充電と放電を繰り返して使用できる電池。
4.2 電気分解
外部から電気を供給することで、化学反応を起こさせる現象を電気分解といいます。
- 陽極: 陽イオンが電子を失い、酸化される電極。
- 陰極: 陰イオンが電子を受け取り、還元される電極。
4.3 電気化学の応用
電気化学は、私たちの生活に深く関わっています。
- 電池: 電子機器、自動車など
- 電気分解: 金属の精錬、水素の製造など
- 電気めっき: 金属表面に他の金属を被覆する
- 腐食: 金属が酸化されて劣化する現象
4.4 標準電極電位
電極反応の起こりやすさを定量的に表す指標として標準電極電位があります。標準電極電位を比較することで、電池の起電力や電気分解の際の電極反応を予測することができます。
4.5 ネルンストの式
電極反応の電極電位は、濃度や温度によって変化します。この関係を表すのがネルンストの式です。
ポイント
- 化学平衡は、可逆反応が一定の状態に達した状態です。
- ルシャトリエの原理は、平衡状態が外部からの変化によってどのように変化するかを予測する上で重要です。
- 電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する装置です。
- 電気分解は、電気エネルギーを使って化学反応を起こす現象です。
- 標準電極電位は、電極反応の起こりやすさを定量的に表す指標です。
練習問題
- 可逆反応の例を3つ挙げなさい。
- ルシャトリエの原理を説明し、具体的な例を挙げなさい。
- ダニエル電池の仕組みを説明しなさい。
- 水の電気分解の反応式を書きなさい。
次の章では、化学反応の速度について学んでいきます。
第3章 応用編(高3)
第1章 化学とエネルギー
1.1 熱化学
化学反応に伴う熱の出入りを熱化学といいます。
- 発熱反応: 反応が進むにつれて熱を放出する反応。
- 吸熱反応: 反応が進むにつれて熱を吸収する反応。
- エンタルピー: 系が持つ熱エネルギーの尺度。
1.2 化学燃料
燃焼によって熱エネルギーを得られる物質を化学燃料といいます。
- 化石燃料: 石炭、石油、天然ガスなど。
- バイオ燃料: 生物を原料とした燃料。
1.3 核エネルギー
原子核の分裂や融合によって生じるエネルギーを核エネルギーといいます。
- 核分裂: 原子核がより小さな核に分割される反応。
- 核融合: 軽い原子核が結合して重い原子核になる反応。
第2章 化学と環境
2.1 大気汚染
人間の活動によって大気中に有害物質が排出され、大気の状態が悪化する現象を大気汚染といいます。
- 主な大気汚染物質: スモッグ、酸性雨の原因物質、温室効果ガスなど。
2.2 水質汚染
人間の活動によって水質が悪化する現象を水質汚染といいます。
- 原因: 産業廃水、生活排水、農薬など。
2.3 地球温暖化
大気中の温室効果ガスの増加により、地球全体の気温が上昇する現象を地球温暖化といいます。
第3章 化学と物質の利用
3.1 医薬品
病気の治療や予防に用いられる物質を医薬品といいます。
- 合成医薬品: 化学合成によって作られる医薬品。
- 天然医薬品: 天然物から抽出される医薬品。
3.2 高分子材料
高分子化合物から作られる材料を高分子材料といいます。
- プラスチック: ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなど。
- 合成繊維: ナイロン、ポリエステルなど。
3.3 無機材料
金属、セラミックス、ガラスなど、有機化合物以外の材料を無機材料といいます。
第4章 化学と未来
4.1 ナノテクノロジー
原子や分子レベルで物質を操作する技術をナノテクノロジーといいます。
- ナノ粒子: 数ナノメートルの大きさの粒子。
- ナノ材料: ナノ粒子からなる材料。
4.2 バイオテクノロジー
生物の機能を利用して、新しい物質や製品を創出する技術をバイオテクノロジーといいます。
- 遺伝子組み換え: 生物の遺伝子を人為的に改変すること。
- バイオ燃料: 生物を原料とした燃料。
4.3 新エネルギー
従来の化石燃料に代わる新しいエネルギー源を新エネルギーといいます。
- 太陽光発電: 太陽光を電気に変換する。
- 風力発電: 風の力を利用して発電する。
- 水素エネルギー: 水素を燃料とするエネルギー。
ポイント
- 化学は、私たちの生活や社会に深く関わっています。
- 環境問題の解決には、化学の知識が不可欠です。
- 新しい材料やエネルギーの開発には、化学の力が不可欠です。
練習問題
- 地球温暖化の原因となる主な温室効果ガスを3つ挙げなさい。
- プラスチックの代表的な種類を2つ挙げなさい。
- ナノテクノロジーの応用例を2つ挙げなさい。
- バイオ燃料のメリットとデメリットをそれぞれ1つずつ挙げなさい。
より詳しく知りたいことや、追加してほしい内容があれば、お気軽にご質問ください。